昨近の急速な円安は、インバウンド効果はあるものの、食品から電気製品や各種部品などの多くを輸入に依存する国内産業は、コスト高となり大変厳しい状況になっています。
当団体は日本で唯一のProduct Liabilityを標榜していますが、多くの方は司法分野のPL法のイメージが強いと思います。現実は輸入、製造、流通小売に深く関わりますが、超スマート社会になりこれまでの対策の効果が薄れ、不良品による大きな被害を伴っており、さらにデジタルプラットフォーマーの影響や情報品質とその責任の所在なども世界でも大きな問題になっております。
2015年に法律家、保険の専門家、技術者、研究者及び様々な団体の皆様により、一般社団法人PL研究学会を設立、その後製品の品質管理の一環である自主回収、リコールの問題を解決する方法として特にB2C製品デジタルトレーサビリティシステムの重要性を公表し支援してきました。
海外、特に北米での食品安全強化法(FSMA)204条が2023年1月に施行されましたが、2024年3月に発生した製薬会社の紅麹を原料とした事件は、もし、北米で起きていたら規制対象となる可能性は高い事案です。同年7月には80余名が亡くなり多くの方が肝機能障害で苦しんでいる方がおりますが、原因究明ができるかは不明であり、その状況の「再発防止」は困難であり、米国であればその事業者の体制整備の脆弱性が解決できるまで全ての製品の製造販売が禁止されます。2026年には24時間での対応が求められます。2024年10月30日米国マクドナルドで起きたO157で起きた食中毒事件については、上記FSMA204に従って、速やかに原因等が公表されています。
時を同じくして米国walmartでは、同社が扱う食品の安全策として製品トレーサビリティ機能を備えることをサプライヤーに要請している。今後、この動きは食品に限らず全商品に拡散していくことが想定されます。そして、2023年末にはEUにてPL法理(法律の根拠となる事項)が公表され、各国の政治的合意がなされたとのこと、国内では消費者庁徳島の研究機関でPL法の改正が論議されていると思われます。
これから
- デジタルプラットフォーマーによる対応強化の影響
- EU内に輸入代理店や支店、関連会社などが無い場合は、輸出した国の包装やパッケージした事業者がその責務を負う可能性が高くなったこと。
- 流通小売りの自動化が進むに際し、GS1 2Dの利用(流通小売りの食品ロスやPOSレジ自動化)が促進し、既に日本でもラベル印刷機などが生産されており、今後の国内外での流通小売の影響がおおきくなる。
- 食品などは食品衛生法や消費者庁のリコールデータベースへの届出義務化(原因不明であっても直ちに報告する義務)、表示に関する規制強化が現実となり、もはやトレーサビリティが確認できないものの輸出だけでなく、行内での販売に対しても社会の要求は厳しくなります。
経済産業省安全4法の改正による規制強化が進んでおり、原因究明・市場の被害の未然防止/再発防止としてリコールの精度を高めるために製品トレーサビリティが必須になるようです。
以上のように「品質安全の異常が発見された場合の科学的根拠のある回収の効率化で消費者市場での被害未然防止を行える体制整備」が求められることが明確になり、選択の余地がなくなったことになります。
企業経営に直結する課題を解決するためのシステムですが、これまでの体制の改革が必要になります。それには教育から始まり例えば取説や商品情報の表示などのコンプライアンスチェックを行い社内規定の改善などが必要で、現時点で今これらに対応できるのはAPLだけであります。また、ロット管理や保管情報の整理、GS1アプリケーション識別子の利用など、事業規模が大きく扱い商品の多さ、種類の相違などを俯瞰的に判断しアドバイスするコンサル的人材の育成が重要になりました。
今後冒頭にお伝えした法律などが現実になるほどに市場ニーズとして「安全確保のためのトレーサビリティ」は必須になり、皆様の良きパートナーになれるよう、新たな組織、一社)APL-Japanを皆様のご支援をいただき社会システム提供団体となれるよう全力で取り組みます。
他の組織団体との連携
『地方創生 SDGs 官民連携プラット フォーム』の「安全(製品安全・消費 者安全)と SDGs」分科会に参加し一財) 電気安全環境研究所 (JET)様と実務的な連携を行なっています。
過去にシンポジウム等にて後援・共催をいただいた団体
東北工業大学、(国研)農業・食品産業技術総合研究機構、一社)セーフティグローバル推進機構、(一社)日本施設園芸協会、(一社)野菜流通カット協議会(VeDiCa)、一社)日本ガス石油機器工業会、(一財)電気安全環境研究所(JET) 、(公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会(nacs)、(一社)日本エシカル推進協議会、(公社)消費者関連専門家会議、防災用品アドバイザー協会、(株)ロダン21
PL研究学会との連携
一社)PL研究学会の運営サポート(事務局運営・学会誌出版、大学や製品安全、 品質保証分野、消費者安全の専門家の皆様の発表、論文募集など)を通し、消費者対応、法律、製品リコールなどの研究活動、成果の広報を支援しています。